雨音

646本当にあった怖い名無し [sage] :2005/11/21(月) 17:12:59 ID:3sZqfdqF0
爺様の話。

山仕事中に大雨に降られ
カッパを羽織って作業を続けた爺様。
フードに当たる猛烈な雨音しか聞こえない中
黙々と下生えを刈っていると、ふと音が消えた。
不信に思って顔を上げると、相変わらず雨粒は
勢いよく顔に当たるのに音が一切聞こえない。
「こりゃあ耳がイカレたか?」
と呟いたら、その自分の声はハッキリ聞こえたそうな。
試しに持っていた鎌の刃を指で弾くと
キンッと小さな金属音が確かに聞こえる。
それなのに雨音だけがまったく耳に響かない。
奇妙に静まりかえった山の中で、爺様は心細くなり
震えながら「勘弁してくれ。」と小さく呟くと
それに答えたのか、唐突にバチバチッ!とフードを叩く雨音が戻ったという。
「狐狸の類にからかわれたんだろうな。」
と当時を思いだして語る爺様であった。

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