ばさん

375 名前:雷鳥一号[sage] 投稿日:03/11/29 23:22
それでは今夜も、リンクしている?お話行かせてもらいましょう。
いや、私が個人的にリンクしているかも、と思っているだけですが。

“ばさん”にまつわる話です。


376 名前:雷鳥一号[sage] 投稿日:03/11/29 23:23
知り合いの話。

持ち山で竹を切っている時のこと。
竹林の中から犬の吠える声が聞こえてきたという。
あたりを見回してみたが、どこにも犬の姿は見えない。
それでもやはり、犬の声が聞こえてくる。
里の居酒屋でその話をしていると、顔見知りの老人が呟いた。

バサバサが出たか。流行り病が来るな。

その年の冬は、たちの悪い風邪が里に流行ったのだそうだ。


377 名前:雷鳥一号[sage] 投稿日:03/11/29 23:25
里山を歩いていると、蕨を見つけたので摘んでいた。
摘み終わって顔を上げると、いつの間にか目と鼻の先に鳥がうずくまっていた。
少し大きめの白い鶏だった。

誰かが山に捨てたのかな、と思いながら嘴先に蕨を差し出してみた。
鶏は蕨の先をつついて飲み込むと、一声大きく鳴いた。
その鳴き声は彼曰く、決して鶏の鳴き声ではなかったという。
何というか、犬の遠吠えによく似ていたというのだ。

目を丸くして驚いていると、鶏は踵を返して山の中に消えた。
その尻尾は異様に長く、まるで白い蛇をぶら下げているように見えたそうだ。


378 名前:雷鳥一号[sage] 投稿日:03/11/29 23:25
知り合いの話。

雑木林の中の獣道を歩いている時のことだ。
下の沢の方から、何か重いものが斜面を駆け上ってくる音がした。
すわ猪かと手近の木に登った直後に、足音の主が現れた。

茶色の羽根を持つ、大人の背丈ほどもある鶏だった。
気が立っていたのか、あたりの木を手当たり次第に蹴りまくっていた。
やがて鳥とは思えない不気味な唸り声を上げ、上の尾根の方に走り去ったという。

彼のつかまっている木も傷だらけになっていた。
しばらくは木から下りられなかったそうだ。


 

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