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ぐるぐると回る

953 :夜山猟師 :2006/06/28(水) 00:05:03 ID:QSV3/jhO0
子供の頃の話。

そもそも母は、俗に言う狐持ちの系統に生まれたらしい。
子供も頃から話半分に聞いていたが、たまに色々な事を
当てることがあった。偶然にしても、面白いものだった。

そんな母が、私の子供の頃の話を語る。

その頃父は、鉄塔の基礎を作る仕事を請け負っていた。
時代は高度成長期、さすがに半農半猟ともいかなくなり、
出稼ぎからはじめた工事作業で現場主任まで行うようになっていた。
鉄塔基礎の作業は、山中にケーブルを通し、機材を
移送する所からはじまる。長年の山での知識が大きく役立った。
かつ、仕事が休みのときは相変わらず猟に勤しむ。

作業は基礎が完成次第、各地を順に廻ってゆき、その度に飯場の
移動があった。民家を借りて、飯場と宿舎にする。
仕事師は常時15名程度。
藁葺き屋根や、土間、囲炉裏も普通だった。
この頃に鉛弾も見ていたともの思う。

3歳前くらいだったか、自分の記憶はあやふやだが
母は昨日のことのように思い出すという。
私はその日もいつものように母と飯場に残っていた。

954 :夜山猟師 :2006/06/28(水) 00:05:56 ID:xKFPGEQe0
突然、私が立ち上がって飯場の大きい座卓の周りをぐるぐると回り始めた。
母はいつもと少し様子が違うのに気がつき、声をかける。
私はそれを無視してぐるぐる回る。だんだん速くなる。
目も虚ろになった。母は恐ろしくなり、私を止めた。
すると

「おとうがたぬきとった!」

一言言い放つと、けろっといつものように遊び始めたらしい。
母は何事かと思ったが、子供のたわごとと思い、帰ってくる仕事師の
食事の支度に追われていたのもあって、そんなことはすっかり忘れていった。

しかしその夕、山から父と仕事師たちが帰ってきて、母は愕然とする。
父がぶら下げて帰った麻袋から取り出したのは、血まみれの狸だった。

「なんで・・・銃も持っていっとらんじゃろうに・・・」
「おお、たまたま穴に入り込んどるのを見つけての、引っ張りだしたんじゃあ」

母はそのとき、はっと気になり、その時間を聞いた。

「昼飯食うて一仕事したあとじゃけえ・・・3時半じゃったの」

丁度、私が回りだした時間だった。

件の狸は毛皮にされ、暫くの間土間で干されていたのが記憶に残っている。
弾傷が無いので、毛皮商が良い値で買い取っていったそうだ。

955 :夜山猟師 :2006/06/28(水) 00:16:06 ID:QSV3/jhO0
この話、実は後日譚あります。

970 :夜山猟師 :2006/06/28(水) 22:21:47 ID:QSV3/jhO0
子供の頃の話の、後日譚。

その飯場には、2匹の猫が同居していた。
父が山から拾ってきた猫で、名をシロとクロという。
そのまま、純白と漆黒の猫だった。
山中の仕事場で、2匹で弁当を貰いに来ていたのを
連れ帰ったのだという。
野良猫ではないようだが、近くで飼っていた人も見つからず、
飯場で飼っていた。
私は、この2匹の猫に遊んでもらいながら育った。

件の出来事があってから暫くしたある日、また私がぐるぐると回りだした。

「シロがチャンにかかった!いたいいたい!」

2度目だったので母も今度は驚かず、しっかりと聞いてみた。

「どこが痛いんかね!」

「ここ、ここ!」

左足を叩く私。
ちなみに、チャンとは小型弱力のトラバサミの地方名である。
父はこれを幾つか山中に掛けていた。

夕方、仕事師が猫を抱えて帰る。
怒って引っ掻くのでチャンを外すのに苦労しましたよ、と笑って語る。
左足の傷は浅く、すぐに治った。

その後飯場が変わるときに2匹の猫は貰われていったが、
クロが電車に轢かれて死ぬと、すぐにシロもどこかへ消えたそうだ。

紙幣みたいなもの

925 :夜山猟師 :2006/06/27(火) 02:19:39 ID:xKFPGEQe0
ではお言葉に甘えて。
ウサギを追いに行ったときの話。

ウサギ猟は猟犬の質が問われる。
ノウサギを追うときに、人のほうへ人のほうへ廻してこれる犬ほど良い。
ノウサギは自分の縄張りを一杯一杯に大きく回って逃げようとする。
犬はその500~600m後を匂いを頼りに追いかける。

昼からはじめたウサギ追いは夜半に突入し、長期戦の様子。
犬は何度も父の辺りにウサギを追っているはずだが、一向に銃声が聞こえない。
そろそろ犬を回収しないと夜を徹することになりそう。
向かいの山に父がいる。私は尾根を下りて回収に向かった。
暫く下りたところで、犬の追い鳴きが聞こえた。まだ追ってるのか・・・
予測しながら、ウサギが通りそうな地点まで先回りする。
犬はウサギの通ったとおりに走るので、回収するにしてもそのほうが効率がいい。
銃をまだ持たない私は、あわよくばウサギに一発かませられるかも、と期待しながら
勢子棒を握り、息を殺した。

暫くして、犬の声が近づいてきた。
そろそろ、ウサギの音が聞こえるはず。
ウサギはトッ、パッサッ、トッ、パッサッと独特の足音を出す。
案の定、聞こえてきた・・・微動だにせず、息を殺して目をやる。

あれ?

926 :夜山猟師 :2006/06/27(火) 02:20:34 ID:xKFPGEQe0
目をやると、音のしているところにウサギはいない。
代わりにへんなひらひらした紙幣みたいなものが動いている。
大きさにして、4~5センチくらい、すべるように、ひらっと舞うように移動する。
そして音はまさにそこから聞こえる。
見る間に、それは捩れるように消えた。

???
その場所に、暫く遅れて犬が来た。犬も紙幣が消えた辺りで何度もぐるぐる回る。
犬を回収して、無線で連絡した。
帰り道、その話をすると
「ふーん、それでのう、そんならなんぼ待っても捕れんわい。ここはこないだ獲ったけェ、
おらんかのと思うたんじゃが、犬がつけるけェ、入れてみたんじゃ。あんなあ、まだ走りよるんじゃのう。」
要するに、それはウサギの魂で、まだ死んだ事に気がついてないで走って逃げ続けている、というのが父の答えのようだった。特に不思議がるでも、疑うでもなかった。

それ以後、その場所でもどこでも、そのようなものを見ない。

おうーい

891 :本当にあった怖い名無し :2006/06/26(月) 13:38:03 ID:afenhTi60
昭和5年生まれの父親の話。
わかりやすいように自己視点で書きますが、脚色はありません。

父は、地方の山村に生まれ、半農半猟の青年時代を送った。
猟の腕は兄について回りながら鍛えたのもあり、30歳前には「目抜き」と
あだ名されるほどだったと言う。
猟はいつも単独で、紀州犬を一頭のみ連れて猪を狙う「留め狩り」というスタイル。
犬が先に猪を追い出して、逃げぬよう、押されぬように「留めて」いるところに
人が追いついて、猪を狙うというもの。
本来、昼間に行う猟だが父はそれを夜行うのが好きで、しかし周りの者には
「夜に猟やら、○○ちゃんしかようできん」などと、蔑まれるような、
畏れられるような行為だったらしい。
事実、夜のほうが獲物はよく出ているので、猟果は高い。が、本来夜に山に入るのは
暗黙の了解として禁忌とされている。ましてや、猟など・・・・
若気の至りというのもあったのだろうか。

その日も、父は一人で山に入っていった。
猟師が歩く距離は想像を絶する。小一時間も歩けば、尾根を越えて奥山の谷に差し掛かる。
その日は遠出のつもりだったらしい。
ただ、出猟前にほんのすこし、異常があった。
犬が離れないのだ。
本来、猟犬は一人で獣跡をつけてどんどん奥に入っていく。
これは私も何度も父と同行しているので知っているのだが、そもそもそうでないと
猟にならない。だいたい、2~300mほど先を犬が行くのが当たり前である。
そんなに奥まで分け入っているのに犬がつけないというのは私も見たことが無い。
その日は、犬が入らなかったそうだ。
父は、単に獲物の跡が無いからだと考え、どんどん奥に入っていった。

892 :本当にあった怖い名無し :2006/06/26(月) 13:38:53 ID:afenhTi60
しかし、奥に行くほど犬は足元に絡みつくように引っ付いてくる。
こんなことがあるもんか?と父が考えていたそのとき、
突然後ろから声がした。

「おうーい、○○ちゃんよーい」

父に聞くと、ほんの10mぐらい後ろから聞こえたそうだ。
父は、誰か後をついてきた友人かと思い、返事をした。

「おう、来たんかー!どうかいのー!」

しかし返事は無い。静寂が続く。
空耳かとも思ったが、はっきりしすぎていた。
はっきり、10m後ろから声が聞こえた。しかし、凝視しても闇が広がるのみ。

不思議に思いつつ、歩を進めようとしたとき、今度はほんの5m後ろで声がした。

「うおーう、○○ちゃんよー!」

聞き間違えでは無い。はっきりと、聞こえた。
しかも、今日ここにいることは誰にも言っていない!
暗闇で、後ろからなぜ自分とわかる?こんな人気も無い深山で!!
「ばけものは2度聞いてくる。2度答えると、命は無い」
という年寄りの言葉を思い出した。
今度は返事をせず、振り向いた。
やはり何もいない。藪の中?

犬は足元で尻尾まで丸めている。
猟犬が?
熊にも怯えぬ猟犬が!?
さすがに総毛だった。

893 :本当にあった怖い名無し :2006/06/26(月) 13:39:39 ID:afenhTi60
普通なら、ここで崩れ落ちるか恐怖のあまりどうにかなるかだろうが、
父はどっかと座り込んだ。震えながらもタバコを点し、一息ついたのち、
突然足元で丸くなっていた猟犬を、声のした藪に投げ込んで銃をとった!!
「ギャー!!!グゲーッ」
獣の声と同時に、飛び出た塊に照準を合わせ、ターンと打ち抜く。

大きな雄狐だった・・・・
犬もわれに返り。死んだ狐に歯を立てている。

父は未だに現役で、夜山に入っている。
私も同行する。たまに、へんなものも見ることがあるが、
これほどの事は未だにない。

895 :本当にあった怖い名無し :2006/06/26(月) 13:59:46 ID:6W21kedB0
怖がってる犬を投げつけるとは、おとんマジ外道

897 :本当にあった怖い名無し :2006/06/26(月) 15:06:25 ID:Q4NQceze0
>>893
ライトなしで照準合わせられるなんて、よっぽど夜目利くんだな。

898 :本当にあった怖い名無し :2006/06/26(月) 15:53:04 ID:PronYKOU0
>>897
訓練を積めばかなり命中しますよ。
「目抜き」といわれるほどの達人なら10mくらいの獲物を撃つなんて、造作も無いことでしょう。

899 :本当にあった怖い名無し :2006/06/26(月) 16:02:35 ID:t07O9VZo0
>>895
猟師として正しいよ。犬は仲間であると同時に道具なんだから。
ペット扱う感覚と一緒にしちゃだめだ。

900 :本当にあった怖い名無し :2006/06/26(月) 17:25:20 ID:BV9YgSsQ0
もし本当に人間だったら。。。(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

905 :891 :2006/06/26(月) 17:49:28 ID:afenhTi60
件の話は父が26歳くらいの頃にあったそうです。
父は今でも昔の狐は人を化かすと固く信じており、
「現代の狐は人の食いもん食っとるけえ化かせんのんじゃ」
と妙な理論を語りますw

>>895
この話を人にすると、まずそこは常に突っ込まれますw
猟師って、極端なんですよね。>>899が言うように道具ってのはあります。
良い犬はすごく大事にする傍ら、死んでも執着しない感じです。

>>893
夜山(夜の猟)自体、獲物が逃げてしまうので明かりは駄目なんです。
慣れると夜目は効くようになり、銃身にチョークを塗ると照準は
合わせやすくなります。
でも違法なんですよね、夜間の発砲はww
だから今の夜山は犬の訓練だけです。

906 :本当にあった怖い名無し :2006/06/26(月) 17:56:02 ID:Q4NQceze0
>>銃身にチョークを塗ると照準は合わせやすくなります。
はるほど。

つか、、散弾なのかな。。単発ライフルで仕留めてるとしたら、
やっぱスゲーな。そんな気がする。

907 :本当にあった怖い名無し :2006/06/26(月) 19:12:01 ID:KKkl5fG40
891氏のパパの名前はデューク東ry

908 :891 :2006/06/26(月) 19:13:40 ID:afenhTi60
今でこそ獲物がウサギになったので散弾ですが、
当時の銃は銃身の長いタイプの村田銃だったと聞いています。
子供の頃に囲炉裏端で銃弾を造るのを見ていました。
鉛の丸い玉を造った順に並べていくのが記憶に残っています。

911 :本当にあった怖い名無し :2006/06/26(月) 22:13:02 ID:2hGOlknJ0
>>897
帝国海軍の頃には、夜襲雷撃戦の為だけに夜目を鍛えに鍛え上げ
当時の米軍の水上レーダーより遠く敵艦を発見する熟練見張り員や、
敵機をより早く見つけるために視力を鍛えに鍛え上げ、真昼間に星を見ることができるまでになった
エースパイロットとかいたからこの世は全く侮れない。

二足歩行

858 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2006/06/25(日) 00:21:21 ID:87yxZpzv0
友人の話。

彼女の実家では、かつて黒い犬を飼っていた。
「血統書とかはなかったけど、おそらく甲斐犬」と彼女は言う。
彼女が物心ついた頃には、もう立派な成犬だった。
頭の良い犬だったが、奇妙なことがあったらしい。
ドアを閉めていた筈なのに、いつの間にか家の中に入っていたということが多々
あったというのだ。
ふと気が付くと、自分のすぐ横で尻尾を振っている、といったような。
家族皆がそう感じていたのだが「気のせいだろ」と流されていた。

ある夏の日、いつもと違う方向から彼女が帰宅したところ、犬は庭で寝そべって
いた。彼女にまだ気が付いていない様子だ。
然したる理由はないが、何となくそこで立ち止まって犬を眺めていたのだという。
気持ちはわかる。私も犬好きだから。

とその時、家の中から母親の大声がした。何かひどく慌てているようだ。
犬は頭を振って起き上がると、台所の勝手口に向かった。
少しの間ドアの前でお座りしていたが、やがてすくっと後足で立ち上がる。
普段から二本足で歩き慣れているかのような、実にスマートな立ち姿だった。

あれあれ!?、と彼女が見守る前で、器用に前足でノブを掴む。
ガチャリと一発で開けた。そのままスタスタと二足歩行で中へ進む。
そしてドアはパタンと中から丁寧に閉められた。
しばし、呆気に取られたそうだ。

859 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2006/06/25(日) 00:22:33 ID:87yxZpzv0
(続き)
その夕食時、家族にその話をしてみたのだが「まぁそういうこともあるだろ」と
あっさり受け止められた。
特に弟からは「あいつ、時々二本足で歩いているよ」とまで言われたのだと。
その時は弟が声を上げて気付かれてしまい、すぐ四つ足に戻ったらしい。
「アレでもうちの犬だし、別に害があるわけでもなし。構わんだろ」
父親がそう述べて、この件についてはそれきりになったという。

犬が十八才を迎える頃、母親が「この子は元気だねぇ。まるでモッケみたい」と
口にした。ちなみにモッケとは、その土地での物の怪の呼称だ。
確かに若い時とあまり動きが変わらないな、と彼女も感じた。
元気に越したことはないから、まぁ良いか。母娘でそう会話したのだという。

それから数日して、犬は居なくなってしまった。
首輪が綺麗に外されて、鎖もきちんと畳まれて置かれていた。
母親は「誰かに盗られたのかねぇ・・・」と浮かない顔だったが、彼女そして弟は
自分で外したんだと信じて疑っていない。

あの時さ、モッケとか言わなかったら、姿消さなかったのかなぁって思うのよ。
ああいうのって、正体がバレたら御山へ帰るって、うちの地方じゃそう言われて
いたし。・・・モッケでも構わなかったんだけどな、うちの家族。

彼女はそう寂しそうに口にした。
その気持ちもわかる。やっぱり私も犬好きだから。

862 :本当にあった怖い名無し :2006/06/25(日) 01:46:11 ID:hl17lcw20
家の犬もモッケになるまで長生きして欲しかった・・

863 :本当にあった怖い名無し :2006/06/25(日) 02:44:46 ID:c1kibXmN0
雷鳥さん、乙です。
犬が2足で歩くのはいいとして、自分で首輪をはずすのは奇妙ですなあ。

866 :スーパーリアル金太 ◆8mzYKF9Qkk :2006/06/25(日) 04:14:46 ID:3KSkWjIT0
>>859
雷鳥様へ
先日のうぷにもあった「勿怪」ですね。
ふぅーむ、ワンコの姿を借りているものもあるのですか。
それともワンコと共生しているのか。
二本足で不自由なく歩き回る犬猫の話も良く聞きますね。
ふと、しばわんこの和の心を思い出すw
あやつモッケだったのか。

880 :本当にあった怖い名無し :2006/06/26(月) 03:48:29 ID:WADO5p2b0
モッケだけど自分をかわいがってくれる人のところにいたかったんだろう。
でもモッケがばれて家族が自分に悪さをするとでも勘違いして山に戻ったのかな。

881 :本当にあった怖い名無し :2006/06/26(月) 09:00:00 ID:PxigADD40
>>880
>モッケだけど

一瞬、あんたがモッケかと思ったよ

882 :本当にあった怖い名無し :2006/06/26(月) 09:48:33 ID:SCsM5KDKO
物の怪は決まりを守るもののようで

この場合もバレたらお山に帰る

と言う決まりだったのでしょうか

律儀です

884 :本当にあった怖い名無し :2006/06/26(月) 10:14:14 ID:MLLslow10
犬をいつか飼って、怪しげな行動を見たら
「君がモッケでもうちは構わないからずっといてね」
と声をかけることにした

885 :本当にあった怖い名無し :2006/06/26(月) 10:22:40 ID:t07O9VZo0
とらぬモッケの皮算用

御犬様

832 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2006/06/22(木) 21:55:32 ID:OjzKT0PI0
友人の話。

彼の育った山村には、一風変わった神社があった。
一見ごく小さな普通の社なのだが、おかしな言い伝えがあるのだと。
「御犬様が境内を散策される時、側に近よってはならない」
御犬様が一体どんな犬であるのかは、伝えられてはいないそうだが。

彼は小学生に入ったばかりの頃に、御犬様を見たことがあるという。
その日、いつものように社に遊びに行くと、大きな黒い犬が地面を嗅ぎ回っている
のが遠目に見えた。
特別な犬だとは思わず近づいて行ったのだが、参道の途中で足が止まってしまう。
面を上げた犬の両目は、普通の犬の倍ほどもあったのだ。
あぁ、さてはこれが御犬様なんだな。
なぜかそう思えて、その場で足を返して帰ったのだという。

他にも御犬様を見た者は、何人かいたらしい。
人によって、その姿は少しずつ違っていた。
ある者は前足が異様に大きかったと言い、また別の者は尻尾が身体と同じくらい
あったと言う。どれもどこかしら真っ当な姿ではない。
しかし目撃者たちは皆、自分が見たものは御犬様に違いないと信じていたそうだ。

時たま里帰りした折に、親戚の子供達が“神社に出る奇形の犬”の話をしている
ことがある。御犬様、いまだ御健在のようだね。そう言って彼は笑っていた。

枯れ葉

697 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2006/06/14(水) 23:35:59 ID:wDGLQ57E0
友人の話。

晩秋の山道を一人歩いていると、おかしな物が現れたのだという。
森の中、薄暗い道の上に、黒い球体が浮かんでいた。
ビーチボールほどの大きさで、胸の高さをふわふわ漂っている。
近よってみると、それは様々な枯れ葉が寄せ集まったものだった。
茶色や灰色の葉が付かず離れず、ざっくりと大きな玉を構成している。

何だこれは? 思わず指で突付いてみる。
途端に何かが弾けたような感覚がして、辺り一面に朽葉が撒き散らされた。
彼の身体も、枯れ葉塗れになったという。
既に道上には、妖しい物は何も残されていなかった。

関係があるのかないのかわからないが、それからしばらくの間、
彼は体調を崩してしまったそうだ。

ヒキサル

471 :本当にあった怖い名無し :2006/06/02(金) 22:41:29 ID:jjT33N520
母親がさ、田舎の生まれで
昔はよく山で遊んでたらしいんだけど
ある日、ウサギを飲み込んだ猿を見たんだってさ。
喉のあたりがあり得ないくらいに膨れてて
口から覗く2本の足がヒクヒク動いてたそうだ。
蛇じゃないんだから……
そんな猿いないよね?

472 :本当にあった怖い名無し :2006/06/02(金) 23:19:40 ID:LbbMRmt30
ヒキサル?

473 :本当にあった怖い名無し :2006/06/02(金) 23:30:54 ID:jjT33N520
>>472
なにそれ?カエルみたいな猿?

474 :本当にあった怖い名無し :2006/06/02(金) 23:43:56 ID:LbbMRmt30
>>473

ヒキサル、とかヒサルキ、とかサルの毛皮を被った化け物?みたいです

475 :本当にあった怖い名無し :2006/06/03(土) 00:16:16 ID:qINSPuGY0
へえ~ホントにいるんだそういうの。
都会にもいるのかな?
母親が山で見たヤツだと
ミミズ飲み込んでるでっけーヒルってのも聞いた。
そいつも憑依されてたのかなw

黒髪

410 :本当にあった怖い名無し :2006/05/28(日) 16:51:17 ID:sXBL9adQO
祖父から聞いた話
祖父の父親は、祖父と同じ林業を営む人だった
秋の肌寒い雨の日の事
祖父の父親は雨具を忘れた為に急いで山を降りていた。
後麓まで15分と言う所で、祖父の父親は盛大に転んでしまった。
腰を擦りながら転んだ原因を探ろうと地面を見たら
地面は黒く染まっていた。
不思議に思い良く見ると、それは道を横断している黒髪で
左から右へと這っている所だった。
呆然として見ていたら突然右耳の耳元で高笑いが聴こえ、
祖父の父親は腰を抜かしながら麓まで駆け降りたそうだ。

天狗の空木倒し

388 :本当にあった怖い名無し :2006/05/28(日) 00:25:12 ID:+LUonsq50
家が山の際にあるのだが(山といっても日帰り登山が出来る程度の低山)
夜中や明け方近くに時折、「ズンッ!」といった重量物を落としたような
地響きを感じることがある。
俗に言う、「天狗倒し」というものであろうか。

391 :本当にあった怖い名無し :2006/05/28(日) 01:07:31 ID:2N/CNDi30
>>388
天狗倒しっていうのか。
前に四国の山中の無人小屋で一夜を明かしたときに
ドスンって重量物が小屋に当たったような大きな音がして
夜明けまでガクブルしたいい思い出・・・

392 :本当にあった怖い名無し :2006/05/28(日) 01:17:28 ID:lK81w6jr0
天狗倒しは、山の中で木が倒れる音。音だけで木は倒れてない。
新耳袋で、天狗が巡行するときにある寺の山門に腰掛けるだか踏み台にするとかいう
話があった。夜中にずしん、と大きな音がするそうな。

良い子は知らなくて良い雑誌

379 :本当にあった怖い名無し :2006/05/27(土) 18:16:13 ID:98FLaDRMO
去年の春の話
半ヒッキーだった俺は大学生活のストレスの為に胃をおかしくして、春休みを少し前倒しして実家にパラサイトしていた。
実家は中央アルプスの麓で、周りにはメイド喫茶も無ければ虎の穴も無い。おまけに家にはネット環境も無いというまさに秘境って言葉が似合う所だった。
しかし、初めの内は胃の中に腐海が形成されオームが這っていてそれ所では無かったが、体調の回復と共に暇を持て余してきた俺は、近所の小山に散歩へ行った。
山といっても丘みたいな物で、徒歩十五分の山頂には小さな祠が有るだけの物だった。
都会の喧騒が遠い昔のおとぎ話に思える様な静寂な雪道。
雪のせいなのか誰もまだ登っていないらしく、野生動物の足跡がたまに道を横切っている以外道には何の後も無かった。
雪のため山頂に着いたのは登り始めてから三十分程度たっていた。
久々の運動の為、まだ雪が積もっている往来で半袖になりながら額や鼻頭から汗が吹き出ていた俺(キメェww)は祠の近くの石に腰を下ろそうと祠に近付いた。
(山頂は15×15m位の広場みたいになっていて、祠は山道とは広場を挟んだ反対側に位置していた。)
祠まで後半分の所で足が止まった。と、言うより思考が停止した。

―馬鹿な…有り得ない…誰の足跡も無かったじゃないか…そもそも…なんでこんな田舎に……しかし俺はアレを良く知っている…

祠の前には、ついさっき誰かが雪の上に置いたとしか思えない

A n g e l   C l u b (良い子は知らなくて良い雑誌)
が鎮座していた

余りの出来事に目眩がして、目を瞑り頭を振って、もう一度前を向いた時には、AngelClubがその回りの雪ごとなくなっていた。

泥まみれの登山靴

370 :本当にあった怖い名無し :2006/05/27(土) 05:32:02 ID:OCTU//M80
んん~なんだ、車が入れるところじゃ、面白くないよな
その奥行かないと

靴で思い出したけど、いつも行く山の中で一人でキャンプしていたんだ。
酒ちょっと飲みすぎて明け方、目を覚まし、水飲むのに
寝ぼけて汲み置きした水筒が見つからなくってテントの口あけて外見たら
テントの入り口においらの登山靴ともうもう一足泥まみれの登山靴があるんだよ
一瞬、なんだこれ?????って思ったんだけど
まだ酔いが残っていて寝ぼけていて水飲みたかったから、
シュラフの足元にあった水筒見つけて水飲んで、また寝たの。
日が上がって、目がさめてテントの入り口見たら、おいらの登山靴だけあって
寝ぼけてた時に見た汚れた登山靴は無かった。

寝ぼけただけだと思うが、なんだったんだあれ?

実を言うと、一緒によくキャンプする仲間も同じ場所で、同じ体験をしているんだが、
そういうことがあったというだけで、ほかに妙なことは起こっていない
非常に良い場所なんだよね、良く行くし、落ち着ける。
弊害といえば、そこは狸がいっぱい居てテントに砂かけられる事が多い事だけど
やっぱ狸のしわざかな?

383 :本当にあった怖い名無し :2006/05/27(土) 22:29:09 ID:OCTU//M80
>377
靴だけ、おいらの登山靴のとなりにそろって

同じ体験した奴も、そう

バス

248 :全裸隊 ◆CH99uyNUDE [zenratai@hotmail.com sage] :2006/05/21(日) 08:18:51 ID:W8KeMOot0
穂高から上高地へ降り、バスを乗り継いで
松本まで戻る予定だった。
斜面に沿って刻まれた道路を走る。
窓の外、並行するように走る道路が見える。
尾根を回る都度、近付き、遠ざかり、交わっては離れる。
頑丈なコンクリート製の道路だ。

疲れと眠気。
ぼんやりしていた頭の中で、何かが弾けた。

あれは新道じゃないか。
こっちは旧道。
新道が開通し、旧道が使われなくなってから、どれほど経つのか。
窓から見えるのは、間違いなく新道だ。
俺が乗ったバスは、旧道を行く。
他にも客は居たはずだが、実は覚えがない。

落石がある。
ひび割れもある。
放置された道路はいたんでおり、バスはひどく揺れた。
俺は何もできず、ただバスに揺られている。

やがて、新道と共用のトンネルにバスは入り込んだ。
出口が近付き、白い光に包まれ、トンネルを抜けた。

249 :全裸隊 ◆CH99uyNUDE [zenratai@hotmail.com sage] :2006/05/21(日) 08:23:45 ID:W8KeMOot0
新道が遠ざかり、落ち葉の下の石を前輪が拾った。
バスが大きく揺れると、俺は道端に立っていた。
揺れた時に、前の座席を掴もうと伸ばした手の形そのまま、
俺は道端に立っていた。
ザックは足元に転がっている。
呆然としながら、乾いた夏の光の中、妙なことを考えた。
バス代、返せよ。

歩き始めてすぐ、タクシーが近付き、止まった。
ドアを開き、運転手が伸び上がるように声をかけてきた。
「松本まで、お代はいいですから、乗って下さい」
ルームミラーで運転手と目が合ったが、彼は黙って車を走らせた。
ほんの数分で、道端に男の姿を見つけた。
運転手はさっきと同じように声をかけ、その男が乗ってきた。

走り始めてすぐ、運転手が話し始めた。
「今日あたりかなと思って、それで走ってたんです」
相乗りしている男と俺は、顔を見合わせた。
「本当、すみません、よく言っときますんで」
無線機が声を発し、運転手はマイクを手に取った。
「ふたりです」
無線でのやり取りは、それだけだった。
涼しいタクシーの中、全員が黙っていた。
荒れ果てた旧道は左側、斜面に沿って続いている。

松本駅に到着すると、運転手は少し待つよう俺たちに言い、
どこかへ行った。
やがて、多くの土産物を入れた袋を両手に提げて戻った運転手は、
俺たちに袋をひとつずつ渡しながら、またおいで下さいと笑い、
タクシーに乗り込むと走り去った。

いつかあの旧道を、最初から最後まで、歩いてみたいと思った。

255 :本当にあった怖い名無し :2006/05/21(日) 23:09:45 ID:muJob19w0
>>248-249
映像が頭の中に浮かぶようないい話ですね。
こういう化かされ方なら一度お目にかかってみたいものです。
地元の人も、妖かしのちょっとしたいたずらという感じで
時々フォローしつつ見守ってるんでしょうかね?

256 :本当にあった怖い名無し :2006/05/21(日) 23:36:37 ID:ydUA1uZ50
「よく言っときますんで」というのが気になるね。
もしかして会社の(死んだ)同僚か、と思ったけど
タクシーとバスは会社違いそうだし。

260 :本当にあった怖い名無し :2006/05/22(月) 11:28:15 ID:BqWehDEz0
若者不足の昨今、地元の交通手段・労働人口(人?)確保の為
バス会社が狐狸妖怪を雇っているのかもしれぬ。

265 :本当にあった怖い名無し :2006/05/22(月) 22:38:53 ID:ztoqfOFs0
>>256
アル○コだったら、バスもタクシーもあるだよ。

しかしまぁ、バスとかタクシー含めて、車って人間の残留思念が留まり易そうだよなぁ。
単なる機械ではなく、愛着を持って接している人も多そうだし。
山と無関係でスマン。

雨の神様

242 :本当にあった怖い名無し :2006/05/20(土) 22:17:32 ID:VlSKNX/Q0
小さい頃に夏休みで秋田にある母の実家に遊びに行った時、雨が降らず困った
村の農家の人方が、山奥にある雨の神様の祠を掘り起こして頼む事になったん
です。おもしろそうなので私も行きました。軽トラで山道を大分走った記憶が
あります。車が入れない道まで来てそんなに歩かなかったと思うのですが、目
的地は木々に囲まれてぽつんと土が茶色く剥き出しになった場所でした。
着いて早々に大人達がスコップで土を掘り始め、その中から石や岩が出てきて
その一つ一つを組み上げていき祠を建て、お供え物をして祈願して終わりまし
た。何かつまらなかったと思いながら帰る途中の軽トラの荷台で、スコールの
ような雨がザーっと降り始め、家に着いた頃に止みました。その日の天気予報
は0%の晴れ予報。次の日も晴れ予報だったんですが、半日雨が降りました。
その時ほど神様の存在を信じた事は言うまでも無く、不思議な体験でした。

コロビ

204 :本当にあった怖い名無し :2006/05/19(金) 15:35:24 ID:N2WsqHYW0
まとめか過去スレで読んだんだがコロビの話って漏れが聞いたのとちょっと違う。

うちの爺さんの田舎は四国の山ん中で、子供のころに結構大きな山火事が発生したらしい。
火の手は相当に強かったらしく村の衆はなすすべなく見守るほか無かったと。
村では段畑に新しい作物を植え始めたばかりで、その畑を気にした若いモンが
様子を見に行ったということだ(本当は危険すぎるのでやっちゃいけない)。

しばらくして戻ってきた若者は青ざめて他の村人に支えられなければ歩けないような有様だった。
山の中から四つんばいでガクブル状態で逃げてきたようだった。
その若者は村人からなだめられやがて落ち着くと、
「コロビが近くで啼いていた。俺のすぐ近くだ。だから火事はおさまるだろう。」
という意味のことを年寄り連中に言っていたらしい。

年寄りは神社の宮司にあわてた様子で話しに行き、宮司は苦い顔をしたそうだ。
しばらく待つと本当に火事は嘘のようにおさまり作物も無事だったが、村の大人は
一様に硬い表情のままだったという。

205 :本当にあった怖い名無し :2006/05/19(金) 15:36:09 ID:N2WsqHYW0
数日後、村の有力者の家に爺さんが遊びに行くと一番の別嬪になるといわれていた娘が
きれいな着物を着せられてご馳走を食べていた。
爺さんが料理をつまみ食いしようとするとその場にいた大人から厳しく叱責され、
爺さんの両親は泣きながら謝りに行ったそうだ。

また数日後、爺さんが父親と道を歩いていると大人でも入りそうな大きさの甕を
担いだ人足と宮司、それと先ほどの村の有力者が行列のようなものを組んで
火事のあった山のほうに進んでいった。
それ以来、娘さんの姿を見ることは無く、娘の両親も姿を消した。
大人に聞いても
「奉公に行った」
「行った先で気に入られて幸せに暮らしている」
と、言うような話しか聞けなかったらしい。

ちなみに爺さんはその娘が初恋だったらしいw

これでどんどはれ

トッピッシャン

161 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2006/05/15(月) 01:16:02 ID:2vTtIcn10
友人の話。

彼女の実家は山奥深い村だ。
今は廃村となってしまったが、そこで奇妙な物を幾度となく見たという。

大きな家や寺に出向いた時には、襖をちゃんと閉めるようにきつく言われていた。
襖や障子をうっかり開けたままにしておくと、何者かが閉めに来るから。
ピシャッ!、と背後で大きな音がして驚かされるのだそうだ。
戸をピシャリと閉めることからか、それはトッピッシャンと呼ばれていた。
これに出くわすと、風邪を引いたりして具合が悪くなるとも聞いた。

彼女も一度、トッピッシャンに遭遇したことがある。
音にも驚かされたが、同時に身震いするくらい体中が寒くなったらしい。
慌てて襖を引き開けてみると、廊下には誰も見えない。
ただ廊下の空気も、まるで真冬のように冷え切っていた。

ひどく気味が悪い思いをしたせいか、以後はきちんと戸を閉めるようになった
のだという。

狐の面

109 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2006/05/09(火) 23:53:30 ID:95eCRXCp0
友人の話。

小学生の頃、仲間数人で山中の廃屋探検に出かけたという。
子供らの間では有名な幽霊屋敷で、不気味な噂が幾つもあった。
侵入してからわかったのだが、普通の屋敷ではなく、どうも何か儀式を行う
道具の保管場所でもあったらしい。
破れ放題ではあるが、それなりに立派そうな物が無造作に転がされている。
捨て置かれたのか、そのまま忘れ去られたか。

喜んでお宝を漁っているうち、いきなり「痛っ!」と叫んだ者がいた。
見れば、瓶の中に手を突っ込んだ仲間がヒィヒィと泣いている。
中でどうかしたのか、とにかく一人では抜けない様子だ。
慌てて皆で協力し、何とか瓶から手を引っこ抜くことが出来た。

泣いている子供の手には、深い歯型がついていた。血が滲んでいる。
どうにも人の歯型に見えた。鳥肌が立ったという。

一人気が強いのがいて、そいつがエイッ!と件の瓶を叩き割った。
中からコロンと転がり出たのは、白い狐の面一つだけ。
口元が赤い汁で汚れていた。
誰かが「うわぁっ!!」と叫び、皆必死に逃げ出したのだという。

それからしばらく経つと、その廃屋は『狐屋敷』と呼ばれ始めた。
彼らの探検談が、いつの間にか広まっていたらしい。
「でもね“○○が狐に喰われた!”とかさ、物騒な尾鰭が付きまくっていたよ」
彼はそう笑いながら、この話をしてくれた。

タオヤジ

70 :雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ :2006/05/07(日) 00:52:59 ID:03dKBXwI0
知り合いの話。

子供の頃、実家の山でおかしな物を見たという。
棚田の側で遊んでいると、目の前の畦道で何かのたうっていた。
大きくて太目の蛇だった。青大将だろうか。
逃れようと必死でもがくが、奮闘空しくズルズルと田の中に引き込まれていく。

何が蛇を襲っているんだろうと、移動して正面から覗き込んでみた。
稲が作る列の間に、大きな頭が見えた。蛙だ、しかし生半可な大きさではない。
パクッパクッと口を開け閉めする度、確実に蛇体を呑み込んでいく。
あっという間に蛇を腹に納めると、蛙は泥の中に沈んだ。
思わず落ちていた棒で辺りの泥を探ったが、何も手当たりがない。
あれだけの巨体、見逃す筈はないのに。

夕食時、お祖父さんに見たことを話すと次のように教えてくれた。

 儂らはタオヤジって呼んどるな。言わばあそこの主みたいなモンだよ。
 うん? いンや、神様ってほどありがたいモンでもないな。
 まぁ精々がモッケ(妖怪)ってところかの。

それからも度々そこに行ったが、再びタオヤジを見ることはなかったそうだ。

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