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- 188 :本当にあった怖い名無し [sage] :2005/10/27(木) 22:15:29 ID:K5azQa9i0
- 荻山安静『宿直草』巻三「山姫の事」より
ある浪人が、備前の岡山にいたとき、山里に遊んで、そこの猟師から聞いた話である。
あるとき、猟をしに深山に分け入ったところ、二十歳ばかりのおそろしく奇麗な女に、ばったり出会った。まとった小袖の色美しさ、黒髪のつややかさも、この世のものとも思われない。
『人が住めるとは思えない山中に、こんな奇麗な姐ちゃんがいるはずがない』と怪しんだ猟師は、火縄銃を構え、女の体のど真ん中を狙って、いきなりぶっ放した。
すると、女は右手で弾を掴み取り、牡丹のごとくあでやかな唇をほころばせて、にっこりと微笑んだ。
猟師はぞっとした。大慌てで弾を二つこめて撃ったが、この弾も左手でひょいひょいと掴んで、平気でにこにこしている。
『こりゃ、だめだ』と思ったから、一目散に逃げだしたところ、べつに追っかけてくる様子はなかった。
その後、村の年寄りに話したところ、
「それは、山姫というものだろう。気に入った相手には宝をくれたりするよ」
とのことだった。